現実は、思った通りになる。急にどうしたの?と思われるかもしれませんが、今の私にとっては、まさに実感そのものです。
私は50代。配偶者の転勤に帯同する生活を続けてきました。子どもはいません。「自分のことは自分で」という配偶者の方針なのか、一度も扶養に入ったことがありません。これは私の希望ではなく、あくまで相手の強い意向でした。
そのため、どこに引っ越しても、自分で仕事を探す必要がありました。でも、特別なスキルがあるわけではない、いわゆる「普通のおばさん」。慣れない土地で仕事を探すのは、手間もかかるし、正直なところ面倒だった。
だから、ずっと派遣として働いてきました。短期間で終わっても気まずくない。引っ越し前提の私には、それが都合よかったのです。
ところが、年齢を重ねるにつれて、仕事はだんだん決まりにくくなりました。何度も「年齢のせいかな」「スキルがないからかな」と落ち込むことがありました。
でも、冒頭の言葉に立ち返ると、「年齢のせい」「スキルがない」と思っているからこそ、現実もそうなってしまうのかもしれません。そんな思いが、何度も頭をよぎりました。
久しぶりの東京で仕事探しに難航した
数年ぶりに東京に戻ってきた。
求人案件は確かに多い。でも、なんとなく「うまくいかないだろうな」という気持ちがあった。それは、前回地方から東京に戻ったときに、仕事探しでかなり苦労した経験があったからだ。
契約終了前から早めに仕事探しを始めたものの・・・
今回は大阪で働いている間の3月中旬から、早めに仕事探しをスタートした。最初は、大阪で最後にお世話になった派遣会社から、いくつか仕事の紹介があった。
しかし、結果はすべて社内選考で落ちた。
紹介しておいて、社内選考で落ちるとは一体どういうこと?「とりあえず紹介しただけじゃないの?」と思わずツッコミたくなった。
しかも、いくつか紹介された中には、条件が合わず断ったものもあった。すべてにOKできるわけではないし、現実的な選択をしたつもりだった。でも、断った案件もあるというだけで「自己都合で断った」とされてしまう可能性があるのかと思うと、モヤモヤする。
実際には、応募しても社内選考で落ちているわけで、私の意思で辞めたわけでも、仕事を選り好みしているわけでもない。それでも「紹介されたのに断った」と記録されると、あとあと不利になることがあるのが、派遣のややこしいところだと改めて実感した。
ちなみに、紹介された仕事の多くは、他の派遣会社からも紹介されているような案件ばかりだった。中には「まだ募集してるの?」と思うくらい、ずっと掲載されたままの案件もあった。
正直、釣り案件ではないかと疑ってしまうほどだった。
希望条件を変えていったけれど
当初の希望条件は、以下のとおりだった。
- 勤務地:自宅から歩いて行ける範囲
- 職種:経理、PCのキッティング、情シス関連
- 時給:その職種の標準的な水準
- 期間:1年くらいの仕事
この条件で、約50件近くエントリーしたが、エントリー落ち、または社内選考落ちだった。このあたりから、さすがに「もう決まらないのかもしれない」と焦りが募り始めた。
そこで思い切って、時給を少し下げて再チャレンジした。だが、残念ながら状況はまったく変わらなかった。
試してみた「短期・低時給」の仕事
次に試したのは、2か月から6か月程度の短期案件だった。
時給もさらに下げてエントリーした。
すると、思いがけず反応が良く、話がトントン拍子に進んで職場見学まで決まった。正直なところ、試しに応募しただけで、あまり気が進んでいなかった。
短期の仕事しか決まらない?
ここ数年、派遣で決まった仕事はほぼすべて「短期」だった。ところが、実際に働き始めると、なぜか「延長の話」が出ることが多い。
例えば、最初は数カ月の短期契約だったのに、後から「あと3か月お願いできませんか?」と続いた。正直、これはどういうことなのかよくわからない。
企業側としては、まず“お試し”で短期契約にして様子を見るのだろうか?使えなければ期間満了で終わり、使えそうなら延長。
ある意味、リスクを減らすための合理的なやり方なのかもしれない。
理由ははっきりしないけれど、現実として今の私に選ばれるのは、どうやら「短期案件」ばかりのようだ。
決めた仕事は断るつもりだった
東京での派遣の仕事探しは、最終的にエントリー数が100件を超えていた。
ここまで来ると、もう正直どうでもよくなっていた。
その中で、試しに応募した短期の仕事が2件、職場見学まで進んだ。けれど、どちらも心は動かなかった。
「結局、自分に紹介されるのは短期の仕事だけなのか」と、まるで実験をされているような、悲しい結果を突きつけられた気がした。
このまま短期の仕事を続けながら、次を探すべきか。それとも、いっそ全部断ってしまおうか。
そんな迷いを抱えながら、1件目の職場見学に向かった。
時給は安いけれど、それでも働くことにした理由
その1件目の仕事は、希望していた時給より300円も安かった。最初から「断るつもり」で職場見学に向かい、心はほぼ決まっていた。
・・・はずだった。
ところが、実際に行ってみると、派遣先の人たちはとても穏やかで、雰囲気も良かった。話し方や表情にもせかせかした感じがなく、安心できる空気が流れていた。
もちろん、働いてみないとわからないことも多いけれど、それでも「ここならやってみてもいいかも」と思えた。
結果として、その仕事を引き受けることにした。
もう1件予定していた職場見学
もう1件、職場見学の予定があった。
条件だけで見れば、最初に決めた派遣先よりも「まだマシ」な印象だった。
理由はいくつかある。
その仕事はわずか2か月間の短期で、自宅からも近い。合わなければすぐに終われるという安心感があった。
時給も、最初に決めた派遣先より100円高かった。
さらに、前回働いていたときと同じ派遣会社の案件だったため、契約終了前に有給休暇が発生するのもメリットだった。
条件だけを見ると、こちらのほうが「お得」だった。
ただ、気になっていた点もあった。
繁忙期の募集だったため、残業がかなり発生するという話を聞いていたのだ。
結果的に、私はその仕事を断った。
働き始めて1カ月弱
働き始めてから、もうすぐ1カ月が経つ。率直な感想は、「思っていた仕事とかなり違った」ということだ。
思っていた仕事内容とのギャップ
実際に働いてみると、仕事内容は予想以上に複雑だった。
担当する業務は、慣れれば時間に余裕も出てくると思うが、そこにたどり着くまでがなかなか大変だ。
というのも、日々の作業のやり方がバラバラで、共通点がほとんどない。正直、「これは無駄では?」と思う手順もある。
すでに誰かが組み立てたやり方に従うだけなので、自分で工夫できる余地がなく、面白みを感じられない。
職場の人たちは、想像以上に良かった
ただ、人間関係については、想像以上に良かった。
これは本当に驚いた。
これまでいろいろな職場を経験してきたけれど、ここまで空気の良い職場は初めてかもしれない。
全体的に柔らかい雰囲気があり、多くの職場でよくある「派遣」と「社員」の線引きもほとんど感じられない。
まさかのリモートワークスタート
そしてもうひとつ意外だったのが、リモートワークの環境が整っていたことだ。
社員の大半は週の半分以上を在宅勤務にしており、完全在宅の社員もいる。オフィスには個人の固定席がなく、社員数の半分も座れないほどの席しか用意されていない。
派遣の私も例外ではなく、すでにリモートワークが始まっている。まだ業務を完全には覚えていないので、徐々に在宅勤務の割合を増やしていく予定だ。
ちなみに、配偶者はなぜかリモートワークに絶対反対で、「そんな働き方はだめだ」と繰り返すばかりで、その理由は何度聞いてもわからない。
じゃあ、せめて扶養に入れてくれるのかと思えば、それも許されない。理由はこれも何度聞いてもわからない。
無職でずっと家にいるよりは、在宅ワークの方がずっといいと思っている。
まとめ:現実は「思った通り」になるのか?
結局、現実って「思った通り」になるのだろうか?
私は自分のことを「能力もないし、おばさんだし」と自信をなくしながら仕事を探した。そして、決まった仕事は希望よりも時給が300円も安かった。
これは、自分が思い描いていたことがそのまま現実になったのかもしれない。
でも、もし「私は素晴らしい人間で、何でもうまくいく」と思ったら、本当にそうなるのだろうか?
実はこれも何度も試してきた。超ポジティブに考えて、行動してみても、少しするとつまずいてしまう。
たぶん私は、特別でもなく、面白くもない人間だ。それでも今、希望とは違っても仕事を始めて、人間関係に救われている。
「思い通り」じゃなかったけれど、「悪くない場所」に来られた気がしている。