
川越には、江戸の情緒を感じられる小江戸と呼ばれるエリアがある。明治・大正・昭和・平成と、四つの時代の面影が混ざり合うまちだ。
歴史的な建造物や文化財、四季折々の自然、美味しいグルメ、そして可愛いカフェが点在していると、10数年前に知った。
バイクで通り過ぎたことはあったものの、観光はしたことがなく、いつか行こうと思いつつ機会がなかった。ある土曜日、美容院に行ったあと特に予定がなく、ふと思い立って川越の小江戸エリアへ出かけてみることにした。
川越へ行くにあたって、もうひとつ気になっていたのが西武新宿線の特急レッドアロー号に乗ってみることだった。
特急レッドアロー号
この特急は「小江戸号(西武新宿・本川越)」として長年親しまれてきたが、2025年3月に廃止が発表され、ライナー型の新しい車両に置き換えられる予定と知った。
西武鉄道は池袋線系統で「ちちぶ号」「むさし号」といった人気の有料特急を運行しているが、新宿線の特急は車両の老朽化と利用者減少により苦戦している。そんな理由から、廃止決定が出たらしい。
この貴重な機会に、老舗のレッドアロー号に乗って川越までの旅を楽しんでみたかったのだ。
高田馬場駅から乗車
高田馬場駅近くの美容院へ行ったので、高田馬場駅からレッドアロー号に乗るために向かった。
事前にスマホで特急券を買えると聞いていたが、念のため駅まで行ってみることにした。券売機を見てもよくわからなかったので、改札近くの駅員さんに声をかけると、その場で特急券を購入できた。改札は普段通りパスモでスムーズに入場した。


駅のホームには特急専用の券売機があり、見た瞬間に「近鉄の特急券売機と同じだな」と思った。奈良に住んでいた頃、仕事帰りにタイミングが合えば近鉄の人気特急「ひのとり」に乗るのが楽しみだったからだ。そんな思い出も重なり、レッドアロー号に乗る期待が一層高まった。
駅のホームにあった自販機。

不二家のケーキがあった。珍しい。
ガラガラな車内



いざ乗車してみると、驚くほど車内はガラガラだった。土曜日で観光や遊びに行く人が多いかと思いきや、思いのほか空いている。もしかすると、この特急は平日の通勤や通学で利用されることが多いのかもしれないと感じた。

終点の本川越駅で下車した。高田馬場駅から44分で着き、思ったよりも近く感じた。
小江戸川越散歩

無計画で川越に行ったため、どこへ行くべきか少し迷ったが心配はいらなかった。駅前に観光案内所があり、そこで観光マップをもらうことができたからだ。



「小江戸川越一日乗車券」というお得なフリーパスもあったが、時刻表を見てみるとバスの本数が少なめだった。
今回は、徒歩でまわることにした。観光スポットは駅からそれほど離れていない場所に集まっていて、歩きでも十分に楽しめた。
ランチ

ちょうどおなかもすいていたので、ぶらぶら歩きながら目に入ったお店にふらっと入ってランチをとることにした。


計画せずにその場の雰囲気でお店を選ぶのも悪くない。
川越の時の鐘


蔵造りの町並みにひときわ目立つ「時の鐘」は、川越のシンボル。約400年前に建てられ、火災のたびに建て替えられてきた。現在の鐘楼は明治時代に再建されたもので、今も機械仕掛けで時を告げ続けている。その美しい音色は「日本の音風景100選」にも選ばれている。
時の鐘は1日4回、午前6時・正午・午後3時・午後6時に鳴るということで、正午のタイミングに合わせて行ってみた。実際に聞いた鐘の音は、想像していたものとは少し違っていて、意外だった。
りそなコエドテラス

旧・埼玉りそな銀行 川越支店の建物が、2024年5月に「りそな コエドテラス」として新たにオープンしたらしい。
50円の焼きだんご


町を歩いていると団子屋さんがあちこちにあった。
その中でもひときわ安い店を見つけ、思わず立ち寄ってみた。焼きだんごがなんと1本50円。素朴な味わいが散策の合間にちょうどよかった。
帰りも特急レッドアロー号

帰りも特急レッドアロー号を利用。
往復ともに特急を利用できて満足だった。


散歩中にいろんなおやつを購入した。


思いつきで出かけた川越散策は、気軽だけれど充実した、楽しい半日旅になった。