歩行者は右側ではなかったの?朝から高齢男性に怒鳴られて考えた道路交通法

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朝の散歩を始めて、もうだいぶ経ちます。鬱の予防や骨粗しょう症対策、そして血糖値のコントロールなど、健康のために始めた朝の散歩です。

そんな散歩の途中で、以前からたびたび出会う高齢男性がいました。

見たところ、80代くらいでしょうか。実は、この男性のことが以前から少し気になっていました。遠くから歩いてくると、私の少し手前で立ち止まり、こちらをじっとにらむように見ている。そして、そのまま道をふさぐように立っているのです。

何度か同じことが続くうちに、もしかして、私が右側を歩いているのが気に入らないのかな。と思うようになりました。とはいえ、周りを見渡してみると、私と同じように右側を歩いている人もいます。中央を歩いている人もいます。もしかしたら、私の存在そのものが何か気に入らないのかもしれない。そんなふうに思うようになっていました。

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そして、ある朝ついに怒鳴られた

そして、ある朝。いつものように歩いていると、その高齢男性がいました。

今度は私の歩く方向を阻むように立ち、こちらをにらみつけています。何か言うわけでもなく、しばらく無言。

またか、そう思いながら、その場を離れようとしました。すると、ついに男性が怒鳴りました。

「左側がルールだ!!」

私は、

「道路交通法では、歩行者は右側ですよね。でも、ここは公園。ここは左側通行というルールが明記されているわけでもないですよね」

と答えました。すると男性はさらにヒートアップ。

「大昔から歩行者は左歩行と決まっているんだ! そんなこともわからんのか!見て見ろみんな左側を歩いている!!」

実際は違いました。私と同じく右側を歩いている人もいたし、中央を歩いていた人もいました。

実際に公園の利用案内を確認してみましたが、左側通行を義務づける記載は見当たりませんでした。

もう、何を言っても話が終わらなそうです。面倒になりました。そこで私は、できるだけ穏やかに、

「そうなんですね! 教えてくれてありがとうございます」

と言って、その場を離れました。朝から知らない人と口論をするために散歩をしているわけではありません。

歩行者は右側?

昔に調べたこともありましたが、改めて調べてみると、道路交通法第10条には、歩行者の通行方法について定めがあります。

道路交通法では

道路交通法では、歩道と車道の区別がない道路について、歩行者は原則として道路の右側端に寄って通行することとされています。条文はネットでも確認できますが、かなり長く、細かな規定もあるので、ここでは割愛します。

ただし、これは「歩くときは、いつでもどこでも右側」という単純な話ではありません。

ポイントになるのは、そこが道路交通法上の「道路」に当たるのか、そしてどのような道路なのか、ということです。

つまり、

「歩行者は右側」という知識だけで、どんな場所でも他人に『右だ』『左だ』と言えるわけではない。

ということです。

公園なら、道路交通法は関係ない?

ここで気になるのが、公園なら道路交通法は関係ないの?ということです。実は、そう単純ではありません。

道路交通法でいう「道路」には、一般的な道路だけでなく、「一般交通の用に供するその他の場所」も含まれます。

警察庁の資料には、公園についても具体的な事例が紹介されています。

たとえば、駅の近くにある公園で、公園を利用する人だけでなく、周辺の商業施設や企業へ通り抜ける人が多い公園については、「一般交通の用に供するその他の場所」に当たると判断された例があります。

一方で、自動車の通行に管理者の許可が必要で、車止めやゲートが設置され、通り抜けもほとんどなく、公園利用者の通行が中心だった公園については、該当しないと判断された例もあります。

つまり、

「公園だから道路交通法は関係ない」

とも、

「公園だから必ず道路交通法が適用される」

とも言い切れないということです。

その公園がどのように利用されているのか、一般の人が自由に通行する場所なのか、といった実際の状況によって判断されます。

今回私が歩いていた公園についても、私はその場で「ここは道路交通法の対象ではない」と断定したわけではありません。

だからこそ、男性に言われた「左側がルールだ!」という言葉についても、

「本当にこの場所では、左側通行が法律上のルールなのだろうか?」

と疑問に思ったのです。

「右が正しい」「左が正しい」は意外とあいまい

ここで思い出したのが、エスカレーターです。

東京など関東では、エスカレーターの左側に立って、右側を空ける。一方、大阪を中心とした関西では、右側に立って、左側を空ける。

こうした違いはよく知られています。

鉄道総合技術研究所も、関東では左側、関西では右側に立ち止まる習慣があると紹介しています。

つまり、同じ日本の中でも、

「こっちが普通」

と思っていることが、地域によって逆になることがあるのです。でも、どちらも「自分の住んでいる地域では、それが普通」なのです。

しかも現在は、エスカレーターについては片側を歩くこと自体が安全上の問題になるため、歩かずに立ち止まって利用するよう呼びかける動きもあります。

自分が正しいと思ったときこそ一度立ち止まる

今回、私が一番考えさせられたのは、右か左かという問題だけではありません。

自分が正しいと思っていることは、本当に正しいのだろうか。

ということです。

法律を正確に知らないまま、「自分のほうが正しい」と思い込んでしまうこともあります。法律ではなく、ただの習慣なのに、それを「絶対に守るべきルール」のように考えてしまうこともあります。そして、それを他人に押しつけてしまう。

今回の高齢男性のように、いきなり怒鳴るという形になってしまったら、言われた側はとても嫌な気持ちになります。

もちろん、危険な行動をしている人に注意しなければならない場面はあると思います。でも、そうでないのなら、

「自分が知らないだけかもしれない」

「もしかしたら、相手にも相手の事情があるのかもしれない」

と、一度考えてみる余裕があってもいいのではないでしょうか。

「自分が正しい」と思ったときこそ、一度立ち止まる。自分の考えと違う人を見かけたとき、「なんでそんなことをするの?」とすぐに思うのではなく、「本当に自分のほうが正しいのかな?」と、一度考えてみる。

もし本当に注意する必要があるのなら、怒鳴るのではなく、相手を尊重しながら伝える。それくらいの余裕は持っていたいと思います。

私もこれから年齢を重ねていきます。だからこそ、年齢を重ねることと、「自分が正しい」と思い込むことは、別のもの。

そうありたいと思います。

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